関東・信州広域循環型専門医養成プログラム
平成21年度合同説明会
後期専門研修・専門医コース在籍者によるパネルディスカッション
「専門研修を大学で行うことの意義と実態/医師のキャリアについて語る(副題)」
○日時
平成21年8月29日(土)14:10~15:30
○場所
日本大学会館大講堂(東京都千代田区九段南4-8-24)
○座長
相馬 正義(日本大学コーディネーター・医学生涯教育センター副センター長)
○パネリスト
黒住 献 (群馬大学医学部附属病院第二外科シニアレジデント)
五味渕 俊仁 (信州大学医学部附属病院呼吸器外科医員(後期専門研修医))
駒ヶ嶺 朋子 (獨協医科大学病院神経内科レジデント)
古川 力丸 (日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター医員・大学院生)
小川博史 (埼玉医科大学国際医療センター救命救急科助教)
○オブザーバー
菊地 麻美 (群馬大学医学部附属病院臨床研修センター助教)
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■イントロ
◆相馬座長
本日のパネルディスカッションには各大学で研修を行っている若手の先生に参加して頂いています。数ヶ月前に5大学連携事業に参加する各大学の後期研修医にアンケートを採らせて頂きましたので、そのデータを紹介しながら進めていきたいと思います。
本日のテーマは3つあり、
「「初期研修医の時のイメージ」と「実際」はなにが違ったか」
「専門研修を大学で行うことの意義と実態」
「医師のキャリアにとって必要なこととは」です。
これを通じて、今大学病院で行われている研修を浮き彫りにし、もし改善することがあれば、本日、5大学の臨床研修の責任者がお集まり頂いているので、考えていきたいということです。まず、菊地先生自己紹介をお願いします。
■自己紹介
◆菊地(オブザーバ)
本日はよろしくお願いします。群馬大学の菊地と申します。今回のパネルディスカッションではアンケートの結果の紹介や補足など、指導医の立場からお話に参加させて頂きたいと思います。よろしくお願いします。
◆相馬座長
それではパネルストの方の自己紹介をお願いします。
◆黒住(群馬大学)
群馬大学の黒住と申します。所属科は群馬大学第二外科の3年目で後期レジデントとして学んでおります。初期研修は前橋赤十字病院というところで、救急を専門に研修をしました。今回自己紹介に今の診療科を選んだ理由を話して欲しいということだったので、きっかけについて話したいと思います。僕は大学3年の基礎医学実習の時に、がんのメカニズムや遺伝子研究に興味を持ちまして、将来的にがん治療の道に進みたいと決めました。5年生の時に臨床腫瘍医ということがあるということを知り、がんセンター等に見学に行きました。初期研修の時には一転して救急のことを勉強して、その際に外科の研修の時、工事現場で大きな事故があり、お腹にパイプが刺さった人が来て、手術の時に外科医のかっこよさ、的確な判断、コメディカルとの協力性などを見ていて、外科医はかっこいいなと思い外科に進むことを考えました。初期研修の際に第二外科の教授や先生方が色々と飲みに連れて行ってくれて悩みを聞いてくださったこともきっかけとなりました。当面の目標としては科専門医をとるために色々ローテーションしているところであります。将来的には乳腺内分泌外科を目指したいと思います。そのほか抗がん剤を利用した全体的なオンコロジーといった専門に進みたいと思っています。
◆五味渕(信州大学)
信州大学の五味渕と申します。信州大学の外科に属しておりまして卒後3年目になります。初期臨床研修先としては、信州大学のたすきがけで1年目は信州大学。2年目は長野県の市中病院で研修を終えました。外科を目指した理由というのは、学生の頃から外科がやりたいと思っていまして、初期研修の時も外科がいいと思っていたので、そのまま外科に進みました。目指しているものとしては、まずは外科の専門医を目指して各科ローテートして今後専門医をとった後にサブスペシャリティーをとっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
◆駒ヶ嶺(獨協医科大学)
獨協医科大学神経内科の駒ヶ嶺と申します。私は4年目の医師になります。初期研修は目黒区の国立病院機構東京医療センターです。神経内科を選んだ理由は、私は一度文学部を出ているのですが、文学部の図書館で神経学の教科書に出会って、これだと思って、学生時代から神経学の教室に出入りをしていたため特に迷わずにきました。迷わずにきたため、このままでいいのかというのを考えたく思って、一度母校をでて初期研修を市中病院でやってみて、また帰ってこようと思いました。当面としては内科専門医を目指していますが、その後は神経内科専門医を、その後は患者さんに出会っていく中で決めていきたいと思っています。よろしくお願いします。
◆古川(日本大学)
日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野の古川です。現在、救命救急センターで勤務しておりまして、卒後6年目になります。日大医学部を卒業してそのまま日大の初期臨床研修に入りまして今現在に至っております。僕は初期臨床研修制度の1期生で、かなり混乱のさなかでした。外の病院にいくことも少し考えましたけど、大学病院でもちゃんと自分の立ち位置がしっかりしていれば、同じレベルの研修ができるはずだという信念のもとで大学に残らせて頂きました。専門医に関しては来月救急の専門医、来年集中治療の専門医をとる予定です。その後はサブスペシャリティーとして集中治療1本でやっていきたいと思っています。実は救命を選ぶ前に小児科に行こうと思って、初期研修の間も小児科に行こうと思っていたのですけど、実際にまわってみてあわなかったというか、大人の方がいいのかなということで、現在に至っています。現在はその未練もあって、小児の集中治療というところもサポートさせてもらっています。
◆小川(埼玉医科大学)
埼玉医科大学国際医療センター救命救急科の小川博史と申します。現在卒後3年目です。私は埼玉医大を卒業し、埼玉医大の初期臨床研修プログラムで初期研修を終えて、今に至ります。埼玉医科大学救命救急科にはいったのは、母校であるということが1つ、実家も埼玉であることも理由の1つです。国際医療センターは今年で開院して3年目となりますが新しい病院で救命救急では、急に具合が悪くなったり事故で今にも死にそうな方を助けていくということが面白いといったら何ですが、興味をもって今に至っております。これから難しかとは思いますが、まずは救命救急の専門医をとらせて頂いて、できるだけ外傷死などを減らせていけたらいいなと思っております。
■テーマ1:「初期研修医の時のイメージ」と「実際」はなにが違ったか
◆相馬座長
これから先ほどのテーマに入りたいと思います。
今度はアンケートの結果を踏まえて、話を進めていきたいと思います。
◆菊地(オブザーバ)
それでは今年の7月に5大学連携事業の一環として行った、卒後3から5年目の先生方へのアンケートの結果を、テーマに沿っていくつかご紹介したいと思います。
後期研修病院を選択した時期は、初期研修2年目が最も多く67%で、その中でも10月から12月がもっとも多く38%でした。選んだ理由は、全体としてみると「出身大学だから」と「多くの症例が経験できる」が多い中で、詳しく解析してみると、他大学から出身大学に戻った方は、「専門研修の内容が充実している。」「将来の進路やキャリアを考えて有利」という理由を挙げる人が多く、臨床研修病院(市中病院)で初期研修を行い大学病院の後期研修を選択した人では、「指導体制が充実している」「多くの症例が経験できる。」「専門医の取得につながる」「高度の知識や技術を習得できるということ」を挙げる方が多く見られました。つまりこれらが、大学病院での専門研修に期待されていることなのではないかとうかがわれます。

(参考)
後期専門研修病院を選択した理由・アンケート結果より
≪5大学全体の上位≫
①出身大学だから(103) ②多くの症例を経験できる(82)
③指導体制が充実(69) ④専門医取得につながる(69)
⑤高度な技術や知識を習得できる(57) ⑥熱心な指導医が在職(55)
⑦実家に近い(52) ⑧初期研修を受けた病院である(51)
⑨専門研修のプログラムが充実(49)
≪他大学で初期研修を行った群の上位≫
①実家に近い ②指導体制が充実 ③専門研修のプログラムが充実
④将来の進路やキャリアを考えて有利
⑤多くの症例を経験できる
≪臨床研修病院で初期研修を行った群の上位≫
①指導体制が充実 ②多くの症例を経験できる
③専門医取得につながる ④出身大学だから
⑤高度な技術や知識を習得できる
◆相馬座長
ありがとうございました。案外初期研修の2年目で進路を選択しているという、ギリギリに選んでいるということと思います。また大学を選んでいるのはいくつか理由があるのかと思いますが、ここでざっくばらんにパネリストの方に話して欲しいのですけど、研修医時代の専門医コースのイメージと今現在の状況など、どんな感じかお話して頂ければと思います。
それでは指名させて頂きます。まずは群馬大学から。
◆黒住(群馬大学)
僕は2年間初期研修を外でやってきましたが、初期研修の頃の大学病院のイメージというのは雑用が多くて経験症例数が少ないということがありました。実際はというと症例数はかなり多くてこのまま行くと外科専門医の症例が3年目から4年目の初めに足りてしまうかもしれませんね。他の科の人にも聞くと、産婦人科ですと指導下であるとは思いますが3年目に帝王切開をさせてもらえるなど、早い時期から経験できるということです。大学病院では教育体制がしっかりしているために早くから経験させてもらえるという感じがします。雑用に関しては大変だとは思うのですけど、ルート取りですとか、採血とかはじょじょに看護師さんがやってくれて、そういうことで呼ばれることは減ってきていると思います。給与面とか報酬面では、おそらく外の病院よりももらっていると思います。出身大学は、第2外科では半々ぐらいに群馬大学と他大学の方がいるかなという感じです。
◆相馬座長
ありがとうございました。思っていたより症例が多いというお話でした。同じ外科ということで、信州大学の五味渕先生、いかがでしょうか。
◆五味渕(信州大学)
私の場合は信州大学で臨床研修のときに外科を回っていましたので、イメージはもともと出来上がっている状態で3年目に進みました。3年目になって実際違ったと感じるのは、一番は責任が大きくなったと感じます。もちろん研修医の時にも点滴や採血などいろいろオーダーしますけれども、3年目になると、その一つ一つに意味を考えて、もしこれで悪くなったらどうなるのかと、そういうことを考えるようになりました。上の先生に聞けばいいのですが、研修医の時は、研修医だから仕方がないかと思われることもありますが、3年目になると自分の責任を感じるようになります。先程群馬大学の先生もおっしゃたことですが、症例数ということでは、よく大学に行くよりも市中病院のほうが経験のほうが多いだろうと市中病院を選ぶ方がいますけれども、確かにオペレーターという意味では、虫垂炎やヘルニアなどは大学病院では少ないですから、そういった意味では劣るとは思いますけれども、逆にいえば、高いレベル、先端医療や高度な技術を伴う手術などは大学でなら見ることができると思いますので、そういった点では大学のほうがすぐれていると思います。雑用については、雑用というのはだれがやるのかというと下の者がするのが雑用でして、スポーツをやるときにグランド整備やボール拾いを中村俊介やクリスチャン・ロナウドがやらないように、部活に入って1年目の人がするのが雑用だと思うので、自分は特に嫌だとは思っていません。
◆相馬座長
案外外科ではたくさんの症例を経験できているということですね。
獨協医科大学の駒ヶ嶺先生、東京医療センターで研修をやっていらっしゃていて、その時のイメージと実際はどう違ったか、ちょっとお話しいただけますか。
◆駒ヶ嶺(獨協医科大学)
東京医療センターというところで研修させていただいて、同期がたくさんいて、病床数は500床くらいで大きな病院だったんですが、実際には割とのんびりと研修していて、同期とのきずなを深める毎日でした。獨協医科大学に帰るということにきまって、栃木県はニュースでやっているとおりに医師不足だということで、どうやら忙しくなりそうだと思って帰ってきたのですが、そうした想像を絶する忙しさです。外の病院を含めた当直回数や、自分はレジデントでありながら大学院生になれるという社会人大学院に入学し、臨床と研究ということで、ただ、地域(医療)を担っているという充実した気持ちで毎日過ごさせていただいています。
◆相馬座長
社会人大学院は結構忙しいということですか。
◆駒ヶ嶺(獨協医科大学)
非常に忙しくて、研究もテーマを比較的自由に自分で考えていいということもあって、なかなか煮詰まらない日々です。外科と違って神経内科という疾患は特殊なので、市中病院で働くよりも大学病院のほうが断然症例数が多いので、獨協医科大学病院は周辺にあまり大きな病院が無く、症例は豊富ですが、大学院生にとっては過酷でもあります。
◆相馬座長
埼玉国際医療センターの小川さん、救命救急ということで、また国際医療センターは新しい施設ですよね。入る前のイメージと、今はどういう感じでしょうか。
◆小川(埼玉医科大学)
ちょうど私が初期研修にはいるときに開設したのが埼玉国際医療センターになります。その時は、臨床研修で選択することはできなかったんですけれども、今はできるようになりました。救命救急など、特化した病院になっていますので、研修病院として回らせていただくことができたのはよかったです。研修医の時と大きく変わったことは少ない印象ですけれども、研修医の時は、あれがやりたいこれがやりたいというのはなかなか言い出せないということもあるし、難しいなあと思っていました。今は救命救急科に一歩入ったところで、割とやりたいことをやらしてもらえているというのはいいのかなあと思います。雑用などは僕はあまり感じないです。良くなっていると思います。忙しいのは忙しいですが、忙しい中自分で時間を見つけて、やれるというのは、楽しいです。
◆相馬座長
充実している日々を過ごしているということですね。日本大学の古川さん、6年目ということで、また大学院にも行ってらっしゃるということで、仕事もだいぶ進んでいらっしゃると思いますが、ちょっと思い出していただいて、(初期研修のころ)自分が思い描いていたイメージと、実際の専門研修の印象とはどんな感じでしたでしょうか。
◆古川(日本大学)
そうですね、初期臨床研修のころに思っていたイメージとして、よくドラマとかでやっているように、救急のお医者さんってずっと忙しくて、寝る暇もなくて、みんな死んだように医局で寝てるというメージがあったんですが、実際に医局に入ってみると決してそんなことはありませんでした。特に今6年目になってきてだんだん景色が見えてくると、忙しい中にもかなりメリハリがあって、かなり気を使わなければいけない時と、あとは少しゆるやかにできる時があって、思った以上にはつらさは感じていません。特に最近は、施設によっても違うとは思いますが、例えば夜中には夜中の人にしっかり任せて、そこから先は自分はもういっさい手を引いてあとは仲間にゆだねるという姿勢も大事と考えられてきています。患者さんが同時に何人も来た時には、僕はこの患者さんを責任持ってみるから、その代わり先生はこの患者さんを見てくださいっていう、責任の分散と労力の分散ってことが十分できるようになってきたので、思っていたよりはかなり楽だと思います。
◆相馬座長
大変そうに見えるけれども思っていたよりは楽になってきているということですか。
◆古川(日本大学)
そうですね、実は私ごとなのですが、今年2月に子供が生まれて、結婚当初は、妻にも、仕事をメインでやるから、僕は子育てはあまりできないというような言い方をしていましたが、実際に(子供が)生まれて、手を出したくなって、今でも家に帰って週に3回ぐらい子供をふろに入れることができるので、そのくらいのゆとりのある生活は十分確保できると思います。
■テーマ2:専門研修を大学で行うことの意義と実態
◆相馬座長
アメリカでも、救急はそういうシフト制がパーフェクトになっているので、割と女性にも人気があるなんていうことが言われています。まあだんだん日本もそんなふうに、36時間連続勤務なんていうことではなくて、いい方向に向かってきたということですね。
大体総じて、ここにおられるパネリストは、大学で研修しているので、あまりネガティブな話はないと思うのですけれども、そういう点も、みんなが描いていたイメージ通りか、あるいはイメージ以上に、大学の研修はいいのかなという、そういうところですね。
それでは続いて次のテーマ、なぜ大学で研修するのか、大学病院の研修の意義、それから、今どういう状態で、さらにどういうことを考えて、もっと改善できるかというのを次の話に進めていきたいと思います。大学で研修をするということの意義を明確に持っている方、いましたら手を挙げていただけますか。
◆駒ヶ嶺(獨協医科大学)
大学病院と比較をしようと思って、初期研修で一度市中病院に出ました。まず第1に大学には学問があって、また最新の情報がとても手に入りやすいところにあるということが、こちらに帰って来てから日々思います。非常にありがたいです。市中病院のドクターは忙しい日々の中で一人でエビデンスを探していて、科によっては指導医がいなかったり、たった一人で勉強しなければいけない状況であったりとか、たくさん耳にはしてますし、実際に過ごしていてもやはりあったとも思います。大学病院では、指導医もいるし、後輩もいるし、またたくさんいろいろな情報が入ってきてサポート体制があるなと思います。それから現実的な話で、私は今年神経内科認定医を受けましたが、市中病院では優秀な先生がいると教えてはもらえますが、制度みたいなところではサポートを受けられるということは皆無なので、認定医を受けるならば全てを自分でやっていかなければならないです。大学・医局に入ったとたんに、こういう認定医というのがあって、君は何月にこういうのを受けたほうがいいというアドバイスを、いろんな方面から受けることができました。そういった他の制度的なサポートも感じています。
◆黒住(群馬大学)
(僕も市中病院で初期研修を行いましたが,)今の先生のお話聞いて、全く同感です。専門医・認定医をとる制度っていうのは、学生と話しているとあまり内容を知らないようです。初期研修医になる前からそういう情報を知っておいたほうがいいなと思います。専門医・認定医を取るのに、例えば内科であれば、神経内科の先生であっても、循環器や血液などの症例もレポートにして出さなければいけない、剖検にも入らなければいけない、ICLSとか救命救急の経験もなければいけないなどということです。そういう症例を全部経験するのは大学病院でなければ難しいのではないかと、僕も思います。
◆古川(日本大学)
あとちょっと切り口を変えてですが、大学病院って市中病院と比べて営利の要素が少なく、だからこそ教育にもかなり目が向けられていると思います。また、僕は正しいことを常にやりたいというのを大事にしています。特に社会的弱者、路上生活者や生活保護を受けている方の問題で、そうした方をできる限り受け入れないようにするシステムがある病院も見聞きしています。そうした(社会的弱者の)患者さんでも、ちゃんとした医療を提供できるということは、公的な意味合いの大きい大学病院だから可能になるのではないかと思っています。 症例数に関しては、僕たちのところでは、救急の専門医に必要な症例が半年で集まるんですね。 (大学は)それぐらい決して症例数の少ない場所ではないです。たとえばイギリスのように、大学病院は必ず紹介してもらわなければ入れないというシステムがあるなら別ですけれども、日本ではかなりフレンドリーに受診ができますので、プライマリーが(研修)できないという状況ではないと思います。
◆相馬座長
ありがとうございます。信州大学の五味渕さんは、市中病院で初期研修をされて、市中病院から大学病院ということですが、そういう中でいかがですか。
◆五味渕(信州大学)
同じようなことになりますけれども、市中病院と大学病院で比べて大きな違いっていうのは、その科に何人も医者がいるのが大学病院で、市中病院だと一人または二人の先生が頑張ってその地域の医療を支えているという実態があると思います、そういう先生方は、知識や経験はかなり豊富で、教えてもらえることは非常に勉強になりますが、ちょっと視点を変えてみてみると、その先生の癖や個性が出てしまうという印象を持ちました。そのため、当然スタンダードと思っていたことが、他から見ると実はちょっと違っていると感じることがありました。大学病院では人が多いということとスタンダードな治療をやっているということを感じます。大学で研修することの意味は、スタンダードな医療ができるというふうに感じています。
◆相馬座長
国際医療センターの小川さん、国際医療センターは、専門分野という点で他と少し違う点もあるかと思いますが、大学のセンターで研修しているという意味で、どうでしょうか。
◆小川(埼玉医科大学)
確かにがんと心臓病と救急に特化した病院ではありますが、大学病院というもの自体変わらないと思ってやっています。僕が大学病院にいて一番思うことは、安心感ということがありますね。外の病院では、例えば夜間救急車で来てもこの検査ができないとか、この患者さんはどうしようとかいう怖さを感じることがありますが、大学にいると今この検査できない、できないから死んじゃうってことはほとんどないです。スタッフも、もちろん上級医含めて困ると相談できる体制が整っていて、外(の病院)に行ってどうしようって思った時にも大学に相談できたりもしますし、僕は仕事をしていてとてもありがたいです。重傷ばかり来るかというとそうではなくて、初期から3次救急で対応しなければいけない患者さんまで、本当に症例はたくさんあります。専門性の高い症例だけじゃなくて、プライマリの方もいて、common diseaseも来ないってわけじゃないので、逆の言い方をすると大学にいて、損するってことはあまりないと思います。
◆相馬座長
ありがとうございました、皆さんの意見からは、やはり教育スタッフに恵まれていますし、安心して研修・研究に打ち込めるという状況が、5大学にはあるということが伺えます。菊地先生、アンケートの結果を踏まえて、特に大学で研修をするということで何か指摘されるようなことは
◆菊地(オブザーバ)
もうほとんどみなさんのご意見で網羅されているかと思いますけれども、アンケート結果では現在の指導医から十分な指導が受けられているという方が80%近くとなっています。臨床研修病院の中には症例が多いということを魅力として前面に押し出しているところも多いかもしれませんが、大学病院の場合は、指導スタッフにも恵まれているということと、あともう一点プライマリケアに関しまして申し上げますと、特に大学病院の場合には合併症を含めて、非常に幅広い疾患を見ることができるという特徴があると思います。自分の受け持ちの患者さんが、その他のcommon
diseaseにあたる合併症を発症したり、あるいは特殊な疾患の方が自分の専門領域の病気にたまたまなったりということで、なかなか外の病院では見ることのできない症例を含めて自分で実際に経験できるということが、将来役立つのではないかと思います。

■テーマ3:医師のキャリアにとって必要なこととは
◆相馬座長
どうもありがとうございました。それでは最後、医師のキャリアにとって必要なこととは何かということで、大学病院ということになりますと、臨床はもちろんですが、学問の内容を引き上げていかなければならないという点、学会活動とか、それから研究も入ってくると思うんですけれども、今実際皆さんが、感じる医師のキャリアにとって必要なものはということについて、まず菊地先生から、データを出していただいて、それから話していきたいと思います。
◆菊地(オブザーバ)
まず先ほどもお示ししましたとおり、現在の研修はキャリア・将来の専門に役に立つかという設問につきましては、十分役に立つ・少し役に立つを合わせて90%以上の方が、「役立つ」と答えてくださいました。将来希望するキャリアや進路の内容についてですが、複数回答で伺いますと、最も多いものは、認定医専門医を取得したいというものでした。大学病院で研修する方で従来多いと思われていた大学院に進みたい・学位を取得したいとう希望は、3番目・4番目ということで、研究や学位を望んでいる方ばかりではなくて、専門性の高い診療・臨床をしたいと希望されている方が、幅広く大学に専門研修に来てくださっている実態が現われていると思います。また、将来のキャリアデザインのために必要と思われる情報ということでは、実際に働いている先生たちの意見、特に新しい臨床研修プログラムになってから働いている方の現場の意見が知りたいということ、関連病院の研修の具体的な特色や、専門医取得までのタイムスケジュール、博士号はいつごろとれるのか、国内外に留学はできるのかといったことが知りたいといったことが挙げられていました。今日はそういう意味では非常にいい機会だと思いますので、この場を借りて、若い先生方の実際のお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(参考)
将来希望するキャリアや進路・アンケート結果より
・研修プログラム/先輩方の進路/留学先や就職先/従事している研究など。
・臨床をやっていく人、研究をやっていく人、外病院で働く人、大学で
働く人など、まんべんなくいろいろな進路の具体例を提示して欲しい。
・多くの人がロールモデルを探していると思う。 ・諸先輩方の実例。
・実際に働いている人の話。 ・上級医の意見。
・実際に今の制度になってからの後期研修プログラムで働いた人の声。
・どんな病院でどんな症例ができるのか。
・関連病院の研修の具体的な特色。
・自分のやりたいこと、手にしたい技術/知識と、マッチしているのか。
・自分の志望とする専門科の指導者や設備があるかどうか。
・専門医取得までの具体的なタイムスケジュール。
・博士号がいつとれるのか? ・海外留学/国内留学はできるかの情報。
・自分の志望とする専門科の指導者や設備があるかどうか。
・子育てをしながらの就業する先輩の情報/同性の先輩の具体的な話。
・詳しいホームページ。
◆相馬座長
はい、どうもありがとうございます。では、パネリストの皆さんで、医師のキャリアというものをどう考えるか、ご意見がありましたら、今考えていることでいいですら、どうぞお願いいたします。
◆小川(埼玉医科大学)
医師のキャリアというものは難しいとは思いますが、個人的には専門医は取れたら良いなと思います。ちゃんと患者さんを診れて、それなりに一人前の治療をできるようになりたい、その中で大事なことが詰まっているというのが専門医とか認定医だと思うので、それをとることは、一人前になっていく上でいいことだと思っております。その意味で、大学にいるって言うのは、すごくいいですし、研究も大学の使命として(一般的には)必要だと思います。ただ、私は研究は必ずしも(自分にとって)必要かなあと思っていて、今は臨床を一生懸命やりたいと思っています。あとは、やりたいって思ったときに(研究などが)できる環境や技術があるっていうことはすごいことで、それだけでも大学にいるというのはすごくいいと思います。もう一つ言うなら、留学だとかそういった面でも、自分もしてみたいなあと思っているのでいいのかなあと思います。
◆黒住(群馬大学)
僕のイメージとしては研究もやりたいというのがあります。基礎研究から始まって臨床につながるような研究をしたいと思っています。最終的には留学も、できればしたいと思っていますが、やっぱり医師としては臨床ができることは絶対に必要なことだと思います。そうした通過点として、臨床研修は大事だと思います。群馬大学もやはり医師不足って言うのは否めないので、大学病院でもプライマリ・ケアをやっていると思います。第2外科なら虫垂炎とかヘルニアも特に若い先生中心にやっていて経験できます。それから夜の当直も、大学当直だけではなくて、地域の病院に行ってプライマリの疾患を見ることができます。ただ、難しい症例は先輩の先生がfollowしてくれるので心配なく、外の病院で僕らが(責任を持って)見るのは一般的な傷の縫合とか、骨折の初期とかそういった治療をやらしてもらっています。研究の面では、もちろん大学で十分できると思いますけれども、(臨床と研究の)両立って言うのは難しいので、そこら辺どうやっていこうかなあというところはいろいろ悩んでいるところではあります。
◆古川(日本大学)
臨床をやるのは医者として当然という話が出て、研究との両立が難しいという話が出ました。ぼくは入局してから(しばらく)大学院に入らなかったんですね。その理由は、大学院に入るときに上から何かお題を与えられてというのではなくて、自分はまず臨床をまじめにやって、それから問題を明確にしてから入りたいって言うのがあったからです。特にまじめに臨床をやればやるほど、現在スタンダードとされている医療のほとんどが正しいものではないのではないかという疑問が、自分なりにわいて出てくると思うんですよね。その上でそこを突き詰めるのが研究と思いますから、決して回り道ではないと思いますし、両方つながっていくものだと思います。だから決して、どちら片方ということではなくて、研究なんかやらないで臨床だけやりたいって言う意見もちょっとどうかなと思います。
◆相馬座長
ありがとうございます。いま、社会人大学院に在籍している駒ヶ嶺さん、どうでしょうか。
◆ 駒ヶ嶺(獨協医科大学)
あのう、先ほどからのお話は、非常に難しいと思いまして、医師という者が、いったい何をしていくべきかという、そういうことにかかわってくると思うんです。医師という職業は、まず臨床をやって、その上で研究を突き詰めていく権利も義務もあると思います。なかなかそういったところは、医師以外の(社会の幅広い)層の人から見て、どう見えるかっていうと、自分たちの中でこもっているような価値観とされてしまうところがあるので、まず社会にも、何かこう、(医師や大学病院の側から)言っていかなければいけない部分もあると思います。そういう状況の中で、どのような医師になっていくかって言うことを、突き詰めるのは困るところもあると思うんです。自分は学問的な興味から神経学をやりたくて、文学部から医学部をめざしました。それでも研究が将来の理想の医師像のためになるかって言うと、まだそこまで自信が無くて、自分がいつかこうあるべきだと思う姿に研究が不可欠なものだとは、まだ実感ができないようなところです。ただ個人的な興味として研究をやっていきたいなとは思っています。で、そこに博士号が関係するかは分からないんですが、ひょっとすると研究の時間をいただけるかもしれない、忙しい中でも時間を作りたいということで、大学院に入学しました。ただ実際に、どういう医者になりたいかって言うと、博士号をもったとか、専門医をもったとか、制度的なものはいろいろありますが、何が(理想の医師像に)つながっていくのかと言うのは、まだ漠然としています。大学病院に戻ってきて、先輩がいて、それから学会や勉強会に参加させていただいたり、海外から先生が来て講演して下さった際に一言でもお話したりする中で、こうした考え方もあったのかということで、目の前で、日々、刺激のあるような先生たちに出会い考え方にふれる中で、(理想の医師像を)作っていっているような気がします。
◆ 相馬座長
はい、どうもありがとうございました。五味渕さんはどうですか。
◆ 五味渕(信州大学)
はい、皆さんすごい研究のこともしっかり考えていらっしゃって、正直びっくりしているんですけれども、ぼくは外科医と名乗るようになってして5ヶ月目ということで、典型的な若手の外科医として、切りたいんですよ。(笑)いっぱい症例稼いで、いっぱい経験したいということで、今は研究よりも臨床・手術というふうに考えています。で、やっていったときに、先ほどの日大の先生がおっしゃったように、何か疑問があったときに研究というふうに考えていきたいなあと考えております。そういう選択肢があるのが大学というふうに考えています。
■質疑応答
◆ 相馬座長
はい、ありがとうございます。まあ、皆さんの意見ですと、研究に対しては、まだ古川さんを除いては本格的に入っていないと思うので、ぴんときてないところもあると思うんですけれども、いろんな選択肢があるんだということは皆さんが理解していると、それが大学の大きなメリットではないかということでしょうか。ここまでで会場の皆さんから、質問やパネリストの皆さんに聞いてみたいことなどありましたら、お願いいたします。
◆ 質問者 群馬大学循環器内科・齋藤勇一郎先生
皆さんパネリストになられる方で、大変優秀な方だと思っています。まだ皆さんは教わっている段階でまだあまりそういうことを考えないかもしれないですが、われわれの頃から5年10年ぐらい前までは、大学に残って臨床やったり研究やったりすることに加えて、若い人に自分の学んだことを教えるという、大学に戻ってきてそういうことをやりたいという中堅どころの先生が(最近)減ってきたのかなあと思います。皆さんにはちょっと先のことかもしれませんが、大学の教育についてはどんな風に考えていらっしゃいますか。忌憚の無いご意見をお聞かせいただけたらと思います。
◆ 相馬座長
いかがですか。
◆ 五味渕(信州大学)
教育ということでよく思うことは、大学にいると臨床実習の学生さんとか研修医とかがいっぱい回ってきます。そんな中で、ぼくとしては興味を持ってやってほしいので、採血などを学生のうちからやらせてみるようにしています。とあるときに研修医が、外科になりたいと言う人が、自分としてはまったく覚えていなかったのですが、(以前自分に)採血のやり方を教えてもらいましたと、femoral arteryからの採血をしましたと、そういうときに雰囲気がいいなあと感じたと、でゆくゆくはそんなふうに(自分のように)なりたいと思ってくれたという経験をしました。そういうきっかけを提供することができるのではないかというふうに思って現在大学でやっっています。
◆ 駒ヶ嶺(獨協医科大学)
まだ自分が教育に本格的に参加しているわけではなくて、ポリクリの学生さんの面倒を見るぐらいですけれども、まだたった4年の経験でも、たくさん苦労があって、是非伝えたいことって言うのがあるので、研修医がいて、学生がいてという、大学病院という環境が非常に毎日刺激的で、本当にその数値が正しいのかどうかとかもう一度勉強しなおしたりだとか、教えるということで(自分が)知ることもできています。
◆古川(日本大学)
教えるということに関しては、忙しすぎて教えてもらえないという事情があると思います。確かにぼくたちも救急の現場で、忙しいと物を教えることができなくて、教育をしっかりするためにはそれなりの時間の確保が必要だと思っています。あとは教えるといっても、それなりのteaching skillも必要ですし、かなりsystematicに攻めていかなければいけない問題だと思います。ぼくも教えることに興味を持って、先日もうちの上司にこれから医学教育に一生携わって生きたいと意思表示をしたばかりです。またアンケート結果にもあったのですけれども、下の子たちがかなり雑用で翻弄されているというところがあって、それを肩代わりしてあげたいなと思っても、そのほかに自分のやるべきこと、研究やら学会発表やらがあって、日常の業務が合ってということで、かなり教える余裕が少なくなっているる状況があります。これからはその時間の確保ということが課題となってくると思います。
◆黒住(群馬大学)
ぼくも、先生と同じでポリクリに行ったときに研修医の先生が、採血を教えてくれて、その先生が、学生だから患者さんにはさせられないから俺の手を使えって言って、10回ぐらい刺したんですが、そのときいやな顔を一つせずさせてくれたのがすごく印象に残っています。そういう学生のときから採血とか、受け入れ的に難しいところもあると思いますが、どんどんやらせてあげると、印象深いかなあと思いました。それから、最近の学生さんを見てうらやましいと思ったのは、確か3年か4年目ぐらいのときに、基礎や臨床の教室に入って、論文を書く練習をさせてもらっているという話を聴いたことです。自分のときにはそういうのは少しありましたが短期間であって、論文を書くところまで行かなかったので、そうした意味で、学生のときから研究に触れられるって言うのも、大学の教育に必要なことだなと、個人的には思います。
■メッセージ
◆相馬座長
それでは最後にパネリストの皆さんに、今初期研修をしている先生方に一言ずつメッセージがあればお願いいたします。
◆黒住(群馬大学)
メッセージとしては、自分が(臨床研修病院で)初期研修をやってみて、臨床研修病院のいいところは、各科の壁が薄いというところで、いろんな先生に相談できると思います。やっぱり早めに科を決めたほうがいいいかなと僕は思います。やはり将来のキャリアを見るためにも、目指すのにもいろいろな選択肢を考えたほうがいいと思います。(専門とする科が)決められない場合には、それなりの広くいっぱい研修できるような病院で研修したほうが良いと思います。特に、どうしても今専門医とか認定医とかを取らないといけないという流れになってきているので、そういう広い範囲でいろいろな専門の科の病気を見られるようなところで研修するのが一番いいかなあと思います。それから、(臨床研修病院で研修中は)いろんなほかの大学病院にも見学とか行けると思います。実際僕も行ってみましたけど、あんまり嫌な顔はされなかったです。どんどん大学などを見に行っていただきたいなと思います。そんな中で群馬大学も見に来ていただけると思っていますので、お待ちしています。いろいろ経験を積めるだけ積むのは大事かなと思っています。
◆五味渕(信州大学)
僕が初期研修医に対して言うことがあるとすれば、笑って楽しく仕事ができるところに働いてほしいと思います。そういう所なら、辛いことがあっても乗り越えられると思いますので、そういう医局を見つけられるといいと思います。その上でもう一つ言うことがあるとすれば、同期が多いところがいいと思います。自分の科に限らず、同期が多いというだけでそれだけで雰囲気が良くなりますし、相談する時もわざわざコンサルトしなくても、(院内)PHSで気軽に聞けるような、同期がいっぱいいるようなところに働ければと思います。
◆ 駒ヶ嶺(獨協医科大学)
私は、一度出て戻ってきた者ですが、かつては医局は一度入るとなかなかほかのところに見学に行くこともほかのところに勉強に行くということも難しいことがあったとは思いますが、今回こうした循環型プログラムというのが立ち上がって、さまざまな他の大学で見学して、たくさんの人に出会えるという機会を与えていただいていると思います。こうしたプログラムを利用して、また見識を広めることができるかなと思っています。よければ、獨協医科大学にも来ていただいて、一緒に切磋琢磨していけたらなと思います。
◆古川(日本大学)
私が思うのは、いろいろ話がありましたけれども、今後一生やっていくわけですから、自分が興味を持って、楽しくやっていけるところで研修・仕事をするということが一番いいと思います。救命救急センターに興味がある方はぜひ見に来て下さい。
◆小川(埼玉医科大学)
今回の合同説明会に参加しているのは僕と同年代の方が多いと思うんですけど、一緒にがんばろうよということで、すべてのキャリアをあきらめないで続けてほしいと伝えたいと思います。先ほどキャリアのところでは、ちょっと雰囲気として言いづらかったのですが、診療以外の家庭のことなども、、僕は自分が家庭を持って、浮かれているわけではないんですけれども、必ずアンケート結果とかにも出てくると思いますが、子育てと家庭の問題というのが、医師のキャリアとして、特に女性にとって大きくのしかかってくると思うんですよね。そこも決してあきらめないでほしいと、そういうふうに思っています。その中でも、例えば出産・妊娠をしている間などに、一時的にも自分の仕事を誰かに荷物を肩代わりしてもらわなきゃいけないということになるわけですから、それはおそらく、マンパワーにある程度余裕のある大学病院であれば、そうしたことも含めて、また再活動・研究・臨床もあきらめずに、今まで頑張っていたことも、家庭も持って、子供も持って、みんなで続けていけるかなと思います。
◆相馬座長
はい、どうもありがとうございます。では最後に、菊地先生、何かコメントがありましたらお願いします。
◆菊地(オブザーバ)
皆さんのご意見で本当にほぼ出尽くしたかと思います。あえて付け加えさせていただくところはあまりないですが、特に大学病院で専門研修をつづけるということに関してましては、やはり指導体制が充実しているということ、特に臨床・研究それぞれの分野で、皆さんの求めるものを幅広く提供することができるのではないかということです。臨床だけで研究や学位には興味がないと、思っておられる先生方にとっても、若いある一定の時期大学でその空気を吸う、例えばカンファランスや学会発表の準備などを一緒に見るといった経験が、おそらく将来の臨床の中で生きてくるのではないかと思います。そうした点も含めて非常に幅広い選択ができるということを、今日みなさんの議論の中から感じました。それともう一点ですが、駒ヶ嶺先生もご指摘くださったように、今回5大学連携事業として、幅広い大学と関連病院を循環することが可能になり、それぞれの病院の特徴を相互補完し、専門医を目指す先生方にいろいろな機会をご提供できるプログラムを行っていますので、これからの進路を考えていく中参考にしていただければと思います。ちなみに、一番最後小川先生のお話にありました、子育ての件に関してですが、私は、一般外科のローテーションを5年間行いその後出産しまして、現在3人子供がいます。その後の専門研修の中では、やはり、大学病院に籍をおいて、多くの先輩方に支えられながらその中で経験を積ませていただくという方法が、結果として一番近道だったなあというふうに感じています。5大学連携事業についてはこれから改善していかなければいけない点、みんなで頑張っていかなければいけない点があるかと思いますけれども、これからもしっかり取り組んでいきたいと思います。今日は本当に有意義なお話を聞くことができました。ありがとうございました。
◆相馬座長
菊地先生どうもありがとうございました。今日は、大学の研修のいいところ、5人のパネリストの皆さんが非常によく描き出していただけたと思います。非常にいいディスカッションができたと思いますので、今後まとめてHPなどに掲載して、発信していただきたいと思います。
5人のパネリストの皆さん、本当にありがとうございました。
以上